結論

2026年度の税制改正大綱では、NISAの口座開設年齢の下限を撤廃し、0〜17歳でも「つみたて投資枠」を使える仕組み(いわゆる「こどもNISA」)を設ける方針が示されています。未成年の枠は年間60万円・非課税保有限度額600万円が基本で、払い出しは原則18歳まで制限され、12歳以降は子の同意など条件付きで可能になります。あわせて、NISA口座に関する定期的な所在(住所等)確認手続きも簡素化される方向です。

この記事から分かること

  • こどもNISAの対象年齢、年間枠、非課税保有限度額の整理
  • 何が買えて、何が買えないのか(商品範囲の注意点)
  • 払い出し制限と「12歳以降の条件付き払い出し」の考え方
  • 住所等の確認手続き変更で、利用者側が気をつけたいこと

背景

新しいNISAは、家計資産形成を後押しする制度として広く使われています。一方で、これまで未成年はNISAの対象外だったため、教育資金など「子どもの将来のために長期で積み立てたい」というニーズとの間にギャップがありました。 そこで税制改正大綱では、次世代資産形成支援として、未成年にも“長期・分散の積立”に限って利用を広げる設計が示されています。名前だけが先行して「こどもNISAなら何でも買える」「いつでも引き出せる」と誤解が起きやすいので、ポイントを制度の言葉で押さえることが大切です。

ここがポイント

こどもNISAは「つみたて投資枠の未成年向け」

大綱の概要では、つみたて投資枠の口座開設可能年齢を0〜17歳に拡充し、0〜17歳の間は年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円とする考え方が示されています。 つまり未成年向けは“積立に向く範囲だけ”を切り出した設計で、成人向けの仕組みをそのまま小さくしたものではありません。

買える商品は「積立に適した一定の投資信託」に限定

税制改正大綱(本文)では、未成年向けの勘定(正式には未成年者特定累積投資勘定)に受け入れられるのは、公募の投資信託のうち一定の範囲に限る、と整理されています。実務的には「つみたて投資枠で買える投資信託の範囲」が基本線になり、個別などを自由に売買する枠ではありません。

払い出しは原則18歳まで制限、12歳以降は条件付きで可能

未成年向けの枠は、長期で資金を育てる目的が強い分、払い出し(口座の外へ移す)が原則として制限されます。 ただし12歳以降は、教育費や生活費などの特定の目的で、子の同意を得たうえで所定の書類提出を行えば、親権者等が払い出し手続きをできる仕組みが示されています。12歳より前は、災害で住居が全壊した場合など、かなり限定的な事情に限って例外が認められる考え方です。

住所等の「定期的な所在確認」が簡素化される方向

現行では、NISA口座を開設して一定年数が経過すると、金融機関が郵送等で住所等を確認する仕組みがあり、確認できないと新規買付が止まることがあります。 大綱では、この定期的な所在確認措置を廃止する方向が示されています。一方で、住所等の変更の可能性がある場合に届出がなければ受け入れ停止とする等、運用上の対応を行うことも示されているため、「引っ越したのに手続きを放置」が一番危険、という構図は変わりません。

具体的にどうするか

1) まずは目的を決める(教育費か、成人後のスタート資金か)

こどもNISAは、途中で自由に引き出して使う用途には向きません。 「大学進学などの教育費に充てたい(12歳以降の条件付き払い出しも想定)」なのか、「成人後の資産形成の土台として置いておく」のかを最初に決めると、商品選びと積立額がブレません。

2) 積立額は“上限から逆算”する

年間上限は60万円なので、上限まで使うなら月5万円が目安です。家計に無理があるなら、月1万円でも十分に意味があります。大事なのは「毎月いくらなら続くか」を先に固定することです。

3) 商品は「低コスト」「分散」「長期」に寄せる

未成年枠は商品の範囲が限定される前提なので、選び方はシンプルです。

4) 払い出しの“手間”を見越して運用ルールを作る

12歳以降の条件付き払い出しは、目的の範囲や同意・書類提出が前提になります。 「使う可能性が高いお金」ほど、こどもNISAに寄せすぎない方が安全です。教育費の全額を投資で賄うのではなく、現金・学資・投資を役割分担させると家計が安定します。

5) 住所変更だけは必ず即対応する

所在確認の手続きが簡素化されても、住所等の変更届出が遅れると買付停止など実務上の不利益が起こり得ます。引っ越しや改姓があったら、証券会社・銀行の登録情報を優先して更新してください。

よくある誤解

  • 「こどもNISAなら個別も買える」
未成年枠は“積立向けの投資信託に限定”される設計で、自由な売買枠ではありません。
  • 「いつでも引き出せる」
原則18歳まで制限され、12歳以降も教育費・生活費など条件付きです。
  • 「月々の積立じゃないと使えない」
年内の買付合計が上限内なら、必ずしも毎月積立に限られる話ではありません。ただし続けやすさの面では積立が有利です。

注意点

制度の細部は法令・金融機関の実務で確定していくため、口座開設方法や取扱商品の範囲、払い出し手続きの必要書類は、開始時期が近づいた段階で必ず公式案内で確認してください。なお、本記事は一般情報であり、個別の投資判断はご自身の状況に応じて専門家への相談も検討してください。

まとめ

こどもNISAは「未成年にも積立投資を広げる」一方で、商品と払い出しに制約がある制度として設計されています。目的と使い道を先に決め、無理のない金額で長く続ける形に落とし込むのが、いちばん失敗しにくい進め方です。